ご相談者
永井さん(38歳・女性)
小学生の息子を持つ母親。毎年春になると親子そろって重度のスギ花粉症に悩まされ、ティッシュの消費量が尋常ではありません。「沖縄にはスギ花粉がない」と聞き、いつか春の沖縄 長期旅行を夢見ています。

佐藤院長、こんにちは。
今年の春も花粉症がひどくて、親子でティッシュを手放せませんでした…。


「沖縄にはスギ花粉がない」と聞いて、春になるたびに沖縄へ逃げたいねって息子と話しているくらいなんです。

それは大変でしたね。
春先の沖縄旅行、とても魅力的ですが毎年となると大変ですよね。
スギ花粉症は今や「国民病」とも言われていて、お悩みの方は本当に多いんですよ。

そうなんです。
毎年薬を飲んでしのいでいますが、息子は薬を飲むと授業中に眠くなってしまうみたいで…。
これって一生付き合っていくしかないんでしょうか?

いえいえ、諦めることはありませんよ。
実はお薬でその場しのぎをするだけでなく、アレルギーの原因にアプローチして体質改善を目指す「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」という治療法があるんです。

体質改善ですか!
初めて知りました!
でも、免疫をつけるってことは、何度も痛い注射を打つんでしょうか…?

昔は注射の治療が主流でしたが、今は違います。
1日1回、お薬を舌の下に含んで溶かすだけの、痛みのない治療なんですよ。


舌の下に?それだけでいいんですか?

はい。
スギ花粉やダニのアレルギー成分を少しずつ体に取り入れることで、体を慣れさせていくんです。
舌下免疫療法ってどんな治療?なぜ「今」なのか?

痛くないんですね!
それなら注射嫌いの息子でも続けられそうです。
さっそく来年の春、花粉が飛び始めたらスタートしたいです!

実はそこが一番の注意点なんです。
この治療は、「花粉が飛んでいる時期には始められない」というルールがあるんですよ。

えっ、そうなんですか!
一番つらい時期に始められないのはどうしてですか?

花粉が飛んでいる時期は、体がすでに花粉に対して過敏に反応している状態です。
そこにさらにアレルギーの原因物質を入れると、強い副作用が出てしまう危険があるんです。

なるほど、火に油を注ぐような状態になってしまうんですね。

その通りです。
ですから、花粉シーズンが終わった時期(スギ花粉なら6月頃~)以降がスタートのベストタイミングなんですよ。

今の時期から始めないといけないんですね。

はい。
そして、体質を改善していくためには、毎日お薬を飲みながら「3年から5年」という長期間の継続が必要になります。
一生治るの?途中で元に戻ったりしない?

3年から5年も!
それだけ長く頑張ったら、もう一生、花粉症にはならないんですか?

実は「一生絶対に再発しません」とまでは言い切れないんです。
ただ、現在のアレルギー治療の中では、長期的な体質改善を目指せる非常に有効な治療法なんですよ。

100%治るわけではないんですね。

はい。
正しく治療を続けた方の約8割に効果があると言われています。
完全に症状が出なくなる方もいれば、お薬の量が減ってかなり楽になる方もいます。

なるほど。
もし治療をやめた後、何年かしてまた花粉症が戻ってくることはあるんですか?

3〜5年しっかりやり遂げれば、治療をやめた後も何年も効果が長続きします。
もし将来、少し症状が戻ってきてしまった場合でも、治療前のようなひどい状態に戻ることは少なく、以前よりずっと軽く済むことが多いんですよ。

元のひどい状態に戻らないなら、頑張る価値は十分にありそうですね!
副作用の心配と、通院のペースについて

でも、毎日お薬を飲むとなると、副作用も心配です…。

おっしゃる通り、アレルギーの原因物質を体に入れるわけですから、特に飲み始めの時期には副作用のリスクがあります。口の中が痒くなったり、じんましんが出たり、ごく稀ですがアナフィラキシーのような強い反応が出ることもあります。

やっぱりリスクはあるんですね。
少し怖いです。

だからこそ、自己判断は禁物です。
一番最初の1回目は、万が一の強い反応に備えて、クリニックの中で私たち医師の目の前でお薬を飲んでいただきます。
その後30分ほど様子を見て、問題がなければご自宅での服用をスタートします。

最初の1回目を病院で診てもらえるなら、少し安心しました。

最初は少ない量から慎重にスタートし、その後は月に1回程度のペースで通院していただきます。
毎回しっかり状態を確認しながらお薬をお出しするので、医師の管理のもとで安全に進めていけますよ。
実は子どもにこそおすすめ!医療費助成のメリット

月に1回の通院を何年も続けるとなると、今度は費用の負担が気になります…。

この治療は自由診療ではなく「保険適用」になります。
そして、ここからが重要なお話なのですが……
永井さんの息子さんは小学生ですよね?
川辺町や、近隣の可児市などは「子ども医療費助成制度」がとても充実していますよね。

あっ!
はい、うちの地域は子どもは高校生まで医療費がかからなかったと思います。

そうなんです。
この治療は多くの自治体では「子ども医療費助成」の対象になりますので、対象年齢のうちにこの治療(3〜5年)を済ませてしまうのが、ご家庭の負担を考えると非常に賢い選択と言えるんです。
小学生の今は、治療にとって良いタイミングだとも思います。

確かに!
大人になってから自費(3割負担)で何年も通うより、ずっと助かります。

それに、学生時代は勉強やスポーツなど、集中力が求められる大切な時期です。
花粉症の症状や、薬の副作用による眠気から解放されることは、お子さんにとって大きなメリットになりますよ。
もちろん、大人の方も治療を受けられますので、親子で一緒に始める方もいらっしゃいます。

まとめ:治療に関してお気軽のご相談ください

なるほど!
子どものうちに体質改善を始めておいた方が絶対に良いですし、息子のためにもなりますね。
私も一緒に始めようかな…。
なんだか希望が見えてきました。

花粉症は諦めるしかないと思われがちですが、今は長期的に症状を和らげ、お薬に頼る日々を減らしていくことを目指せる時代です。

とても参考になる情報、ありがとうございます。
花粉症に悩まない生活は、私の夢です。

どういたしまして。
また、具体的な治療の方法やご相談については、当院へいらしてください。
【まとめのアドバイス】
スギ花粉やダニアレルギーには、アレルギーに強い体質づくりを目指す「舌下免疫療法」という選択肢があります。
正しく治療を続ければ約8割の方に効果があり、治療終了後も長く効果が持続します。 治療には3〜5年という期間が必要ですが、子どもの場合は医療費助成の対象となる自治体も多くあります。
花粉が飛散していないときが、治療を始めるベストタイミングです。
用語解説
#舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に取り入れ、体を慣れさせることで根本的な体質改善を目指す「アレルゲン免疫療法」の一つです。従来の皮下免疫療法(注射)とは異なり、舌の下に薬を含んで溶かすだけなので痛みがなく、自宅で毎日服用できるのが特徴です。現在、日本では「スギ花粉」と「ダニ」のアレルギーに対して保険適用の治療薬が承認されています。
#アナフィラキシー
アレルギー反応のうち、じんましんなどの皮膚症状、息苦しさなどの呼吸器症状、腹痛などの消化器症状が、全身に急激に現れる状態のことです。舌下免疫療法ではごく稀に起こる可能性があるため、万が一に備えて「初回の服用は必ず医師の目の前で行い、院内で30分ほど様子を見る」という厳格なルールが設けられています。
#子ども医療費助成制度
各市区町村が、子どもの医療費(保険診療で窓口で支払う自己負担分)の一部または全額を助成する制度です。以前は「乳幼児」が中心でしたが、現在では多くの自治体で小学生、中学生、あるいは高校生まで対象が拡大されています。自治体によって「対象となる年齢」「所得制限の有無」「窓口での自己負担額」が異なるため、お住まいの地域の規定を確認することが大切です。
# 保険適用(保険診療)
公的医療保険(健康保険)が使える治療のことです。舌下免疫療法は国から効果と安全性が認められた治療法であるため、全額自己負担となる「自由診療」とは異なり、大人の場合は原則3割負担で受けることができます。毎月の薬代や診察代の負担が抑えられるため、3〜5年という長期間の治療でも続けやすくなっています。